tsshareのブログ

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不思議の国の道路運送法 1

皆さんは、ジャスタビというサービスをご存知でしょうか?これは旅行業社HIS系列の会社による、運転手マッチングサービスです。


このサービスは、沖縄から始められ東京や北海道へ広がっています。


沖縄で旅行する場合、レンタカーの利用は便利で多く利用されています。しかし、中国や韓国からの旅行者は、自国の免許証が日本で使用できないため、レンタカーを利用する事はできませんでした。


こうした海外からの旅行者向けに、運転手を提供しようというのが、運転手マッチングサービス「ジャスタビ」です。運転手には、観光情報をよく知る地元の方が登録されているので、国外の方だけでなく、国内の旅行者にも利用されています。

 

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このサービスは、経済産業省のグレーゾーン解消制度でも確認されており、白タク行為には該当せず、当然違法行為ではありません。それゆえ、運転手には二種免許は必要ありません。


このモデルでは、利用者側から見ると、運転手とレンタカーを別々に調達し契約し利用している点が重要です。


道路運送法では、運転手とレンタカーを一体化にして提供する場合は、道路運送法に抵触し白タク行為とみなされますが、先述のように「ジャスタビ」はこの一体化の提供には該当しません。


それでは、実質一体化とはどのような状況をいうのでしょうか。経済産業省のジャスタビモデルの照会書には

ただし、例えば以下の場合には、ドライバーと自動車が実質的に一体として提供されて いると判断され、ドライバー及びレンタカー事業者の行為は道路運送法に抵触する。
ⅰ 事業者又はレンタカー事業者が自社ウェブサイト等に相手方の広告やウェブサイトへのリ ンクを掲載する等、事業者とレンタカー事業者に業務上の関係があると判断される場合
ⅱ 第三者が業として事業者とレンタカー事業者の双方を紹介する場合
ⅲ レンタカー事業者の親会社と事業者との間に資本・人的関係があるときに、当該関係を解 消しても、実態として事業者への事実上の影響力が解消されていない場合

 


と、あります。
ここで言う事業者とは、ジャスタビ運営会社の事です。
なかなか、分かるようで分かりません。

利用者「今度、沖縄に旅行に行くので運転お願いします」
運転手「了解しました」
利用者「車を利用するのにちょうど良いレンタカー屋さんをご存じありませんか」
運転手「空港を降りてから利用するのなら、Aレンタカーはいかがですか」
利用者「わかりました、さっそくAレンタカーに連絡してみます」
以上のようなやり取りを行うと、
運輸局「こら、お前ら道路運送法をなめとるのか!それは白タク行為で違法行為だ、こら!!タクシーなめとったら、捕まえて牢屋へたたきこむぞ!!!」
となります。


一体どこが、道路運送法に抵触するのでしょうか。


それは、運転手が特定のレンタカー事業者を紹介したことにあります。運転手がレンタカー事業者を紹介したとしても、別にキックバック等紹介料を貰わなくても違法の可能性があります。つまり、運転手がレンタカー業者の名前を出した時点で、グレーです。
実際には、捕まる事はないでしょうが、運輸局の見解は、レンタカー事業者の名前を出すことを好まざる事と考えており、このような指導をしています。


つまり、名前を出すだけで、一体化に抵触すると考えています。

 



経産省の回答書のⅲ番目の事項を検討すれば、ジャスタビの親会社はHISであり、レンタカー事業者であるトヨタレンタカーは勿論トヨタ自動車の系列会社です。
どこかをたどっていけば、巨大企業同士であり、どこかで業務上のつながりはあるかもしれませんし、今後、そのような業務上のつながりができたときには、HISはジャスタビというサービスの提供を中断するのでしょうか。そのまま続ければ、道路運送法に違反するのでしょうか。

現在のように様々な事業同士が連携し合って、様々なサービスを生み出そうとしているときに、金銭のやり取りが無く名前(情報)を提示するだけで、違法行為とするのは、時代に全く合わないのではないでしょうか。

既得権益を保護する事で、様々なサービスの芽が摘み取られていると感じます