tsshareのブログ

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不思議の国の道路運送法 2

またまた、道路運送法について。

少子高齢化社会を迎えて、買い物弱者は全国に700万人と言われています。今後、この数字は高齢化更なる進捗に伴い大きくなることが当然予想されます。
買い物弱者に求められているのは、商品を手に入れる方法ではありません。買い物に苦労を感じている人の多くは、同時に病院やその他の外出にもストレスを感じています。
「買い物弱者」とはすなわち「お出掛け弱者」でもあります。日常の外出が困難な状況にある人々です。
買い物弱者が必要としているのは、外出するための移動手段です。私たちが日常で利用する自家用車の代わりとなるものです。

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一般的に、自家用車の代理となるのはタクシーです。700万人の買い物弱者とは、まさにタクシー事業者にとっては、需要に他なりません。
ところが、タクシー事業者はこの700万人の需要にこたえることができません。なぜでしょう?

理由は、非常に明快で、タクシー料金が高価である事。タクシー事業は許認可制である事。そしてタクシー事業を保護しているのが、道路運送法です。
突き詰めれば、道路運送法が悪いのです。


この法律の下で、買い物弱者に対応する方法は2つです。
一つは、タクシーを利用する高齢者に自治体等から補助を出すことです。極端に言えば医療費のように個人負担が2割とか3割にすれば買い物弱者問題は解決します。もちろん財政は破綻するでしょうが・・・。
二つ目は、ボランティアによる送迎です。利用者から乗車料金を取らなければ、道路運送法の適用外となります。全国には、多くのNPOがボランティアによる高齢者の移送を行っています。

 

実は、ここが道路運送法の面白い点です。道路運送法の適用を受けずに移送する方法としては、やはり二つあります。
一つは、前述した利用者から料金を貰わない事。もう一つは、以前にブログにも記述した、車両と運転手を別々に分けて利用する事です

あなたが、自家用車を使って無料タクシーを始めた場合、これは道路運送法に抵触しません。しかし、この行為に、協賛やスポンサーが付きそちらから金銭を得ている場合は、たちまちグレーとなります。つまり、道路運送法では、ある人を移送して、直接間接を問わず金銭を得る行為は違法であると解釈します。
タクシー事業者「客を運んでカネを貰っている以上、わしらの商売の邪魔や、ボケー」
と、言う事です。
わかりやすいと言えば、わかりやすいのですが・・・


ボランティアによる買い物弱者対策は自治体も奨励して、全国で行われています。実際に行われる際は、完全に無料ではなく実費、すなわちガソリン等の消耗代費は徴収しています。
しかし、全国に700万にと言われる買い物弱者問題をボランティアの努力で解決しようというのはやはり無理があるでしょう。利益が得られないうえに、交通事故の際のリスクも負っての行為は、負荷が大きく持続性の観点からも問題が大きいと思われます。

 

もう一つの、車両と運転手を別々に分けて利用する方法は、それぞれが適正な料金を利用者から貰うことが可能ですが、こちらについては、別に記述します。

 

タクシー事業者は、決して法外な利益を上げているわけではありません。運転手の平均収入は、他業種と比較しかなり低廉です。タクシー事業者も買い物弱者問題に当然関心があるでしょうが、それに向き合うことができない理由はただ一つ、道路運送法にあります。
道路運送法ががちがちに縛りに縛っているため、タクシー事業者は動こうにも動けないので、買い物弱者は増え続けるばかりです。

 

規制緩和が行われることはまずないでしょう。道路運送法が改正されるには、自動運転車両の登場を待つほかありません。引き続き高齢者の事故は増え続け、買い物弱者問題が解決する事はありません。